「恋愛は夢とロマンがあるけれど、結婚は現実。『結婚する』という事は夢もロマンも捨てること」

ある哲学的な現実主義の方からそんな言葉を聞いたことがあります。

男女が出会い、お互いに惹かれあって関係を深めていく間、所謂『恋』をしている期間は、男性でも女性でもその人と会うだけで夢を見ているように幸せです。会えない時でもお相手のことが気になって夜も眠れず、些細な言動で一喜一憂、見るもの聞くものすべてが、想いを寄せるその人に繋がって、かた時もその人のことが忘れられない。「次のデートに誘ったらOKしてくれるかな」とか「あの人は私のこと、どう思っているかしら」とか、寝ても覚めてもハラハラドキドキ、妄想を膨らませて相手のことを思っているものです。

もしこれを『夢』とか『ロマン』というのであれば、結婚したら確かにこういう気持ちはなくなるかもしれません。生活を共にするパートナーに朝からいちいちドキドキときめいていたら、自分も疲れてしまうでしょうし、相手もめんどうくさくて仕方がありません。まして子供ができてお互いに「お父さん」「お母さん」などと呼び合うようになっては、もう恋愛のロマンスなんて忘れ去ってしまうのも当然です。

 

ですが、無くなってしまうものばかりではありません。人生を共に歩むと決めた二人の間にはドキドキの恋愛駆け引きやワクワクのデートは無くなっても、別のものが生まれてきます。

夫婦というタッグを組んで、家庭という船をお互いのオールをもって一緒に漕ぎすすめ、社会の荒波に立ち向かい、仕事・お金・ご近所や両家との付き合い・子供のコミュニティなど、日々降りかかってくる大小の問題という火の粉をかいくぐり、理想郷に近づいていく。その理想はマイホームだったり、田舎への移住だったり、夫婦によってさまざまな夢があるはずです。その夢に向かっていく中で、時にくじけそうになるのをお互いに励まし合い、相談し合い助け合い・・・。するとそこには絶対の信頼関係と安心感が生まれてくるのです。

 

結婚はパートナーと共に強固な愛と絆を紡いでいくものです。夢のカタチは変わるかもしれませんが、一人で描いていた夢が二人の夢になっていくのです。そこには大きなロマンもあると思いませんか?